大島紬とポリフェノール——奄美の色をつくる化学反応

奄美へ移住してから、
「シャリンバイ」という植物を知りました。

島の道で見かける植物が、
大島紬の色につながっている。

その背景を知ったとき、
薬剤師として化学反応が気になりました。

目次

シャリンバイと泥染め

大島紬の泥染めには、
シャリンバイが使われます。

シャリンバイから得た染液には、
タンニン系ポリフェノールが含まれます。

染めた糸を泥田へ入れると、
タンニンと泥に含まれる鉄が反応します。

鉄と結びつくことで色が変わり、
深い色をつくる要素になります。

一度で終わるのではありません。

染めと泥田での作業を重ねながら、
大島紬の糸は色を帯びていきます。

植物、泥、鉄、そして人の手。

一つだけで生まれる色ではないことが、
泥染めの大切なところです。

パッションフルーツの果皮で染めた日

以前、わたしも、
草木染めを試したことがあります。

使ったのは、
パッションフルーツの果皮です。

白いてぬぐいを染めると、
淡いピンク色になりました。

写真の右下にある布が、
そのときに染めたものです。

小さな布でも、色を重ねるには、
手を動かす時間が必要でした。

大島紬の工程と同じとは言えません。

それでも、色をつくる作業が、
一度では終わらないことを知りました。

バタフライピーの色は、別の反応

植物の色の変化には、
別の仕組みもあります。

青いバタフライピーに、
レモン果汁を加えると色が変わります。

関わっているのは、
アントシアニンという色素です。

アントシアニンは、
ポリフェノールの一群に含まれます。

pHが変わると分子の状態が変わり、
目に見える色調も変化します。

泥染めのタンニンと鉄の反応とは、
同じ説明ではありません。

「植物の色が変わる」という見た目だけで、
化学を一つにまとめないことが大切です。

奄美の色を、成分から見る

薬剤師の仕事では、
似た名前や反応を分けて考えます。

香りの成分を分析するときも、
色の変化を見るときも同じです。

大島紬の深い色の背景には、
島の植物と泥、職人の手があります。

化学を知ることは、
その手仕事を短い言葉で片づけることではありません。

何が反応し、何が重ねられたのか。

色の奥にある時間まで、
丁寧に見ておきたいと思います🌿


<香彩代表・カモガワ>

薬剤師として奄美大島に暮らしながら、島の植物の香りを“えがおのくすり”として届けています。
青い海と風の中で出会った植物たちの香りを通して、奄美の優しさと彩りを全国へ。

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