奄美の手作りアロマオイルブランド『香彩(かあや)』ができるまで

◆薬剤師の私がアロマオイル製造をはじめた理由

香彩(かあや)のアロマオイルは、奄美の植物から生まれました。

「いい香りがする」のはもちろん、島の自然や人のあたたかさを感じられるような香りをお届けしたい🌿

そんな思いを込めて、ひとつひとつ手作りしています。

このページでは、香彩(かあや)がどのようにして生まれたのか、
そして薬剤師である私がなぜアロマオイルづくりを始めたのか、これまでの歩みをご紹介します😊

「人の力になりたい」。でも……

子供の頃に抱いた「人の力になりたい」という気持ちを叶えて薬剤師になったものの、
総合病院等の激務に疲弊……。気づけば自分自身の元気がなくなっていました。

そんなとき、友人の縁で訪れた奄美大島に心惹かれます。

大好きな青い海と暮らしやすさがどちらもあるこの島でなら、のびのびと過ごせるかもしれないと感じ、
思い切って移住を決めました🏝️

アロマ作りのきっかけは、お客様の一言

奄美での暮らしが落ち着いてきた頃、プライベートでアロマテラピーに興味を持ち、調べたり試したりしていました。

ある日、お客様が何気なくおっしゃった「島のアロマって無いんだよね」という一言が転機となります。

アロマの製造方法については本で読んだことがあり、もともと化学も好きだったので、
「作れるかもしれない!」
と思ったのです💡

右も左も分からないけど、「なんとなくできそう」「無理じゃないかも」と思えたので、
ひとまずやってみることにしました。

何より、大好きな島の香りをアロマオイルにできたら楽しそう!

これが、「香彩(かあや)」のはじまりでした。

目次

◆初めてのアロマオイル作り!島の人々の声が原動力に

▲抽出のために揃えた実験器具たち(一部)

アロマオイルの主な抽出方法は「水蒸気蒸留法」です。
植物を水で熱し、その蒸気を冷やして精油を取り出します。
アロマオイル作りのため、10Lという小型の蒸留器を用意しました。

最初の素材に選んだのは「幻のみかん」

アロマオイルの素材には香りの強い植物がいいと聞き、島の人に相談したところ、
「花良治(けらじ)みかんはどう?」と教えていただきました🍊

花良治みかんは、奄美からフェリーで2時間ほどの距離にある喜界島(きかいじま)が原産の、
「幻のみかん」と言われる柑橘です。
香りの良さから、焼酎に果汁を搾り、皮までグラスに入れて飲む楽しみ方があるとのこと🍶

流通量が少ないため、探すのは難しいかもと思っていました。
しかしある日、通勤途中の商店で偶然にも花良治みかんらしき青いみかんを見つけたのです。

お店の方に聞くと、「これは奄美産の花良治みかんだよ」と💡
「これだ!」と思い、2kgのみかんを購入。
レジ袋がパンパンになるほどの量を抱えて帰宅し、試作をスタートさせました。

手作業で皮むきから開始

いよいよ試作の開始です。

蒸留器に入れるため、まずはピーラーで一つひとつ皮をむいていきます。

単純な作業ですが、2kg分となると想像以上に大変で、30分近くひたすらピーラーを動かし続けました。

蒸留器に入れる水も、水道水ではいけません🙅‍♀️

島の人たちが農業などによく使っている湧き水を汲みに行きました。
12Lのタンクに汲んで帰ってきて、蒸留器にセットします。

加熱し、しばらくすると、キッチンいっぱいに花良治みかん特有のみずみずしくてほろ苦い香りが立ち込めます。

「これが香りの“凝縮”なんだ」と思う濃さでした😲

やがて、みかんの精油がビーカーに取れたときには
「本当に取れた…!すごい!」
と達成感と驚きが胸に広がりました。

▲ビーカーに落ちて集まった精油と、芳香蒸留水

「それ、売らないの?」の一言が次の一歩に

できあがったアロマオイルを島の人に見せたところ、
「いいね!それ売らないの?」と思いがけない反応が返ってきました。

最初は「作れたら面白そう」という気持ちだけで始めたのですが、
「買いたい」と思ってくれる人がいるならと、販売に向けて動き出すことにしました💪

どのくらいの果物から、どれだけの精油が取れるのか?

どんな方法なら、安定して香りを引き出せるのか?

仕入れから蒸留、瓶詰めまで、何度も繰り返して試行錯誤を重ね、販売できるだけの体制を整えていきました。

こうして誕生したのが、奄美のアロマオイルブランド「香彩(かあや)」です。

◆私だからこそ、植物の魅力を最大に引き出したい

香彩(かあや)が大事にしているのは、植物そのものの良さを活かすことです。

一般的に使われる「水蒸気蒸留法」だけでは、香りが飛んでしまったり、本来の魅力が十分に引き出せない植物もあります🌿

大量生産では水蒸気蒸留法のみで生産されることがほとんどですが、私は植物にあわせて3つの抽出方法を使い分けています。

植物に合わせた3つの抽出方法

①水蒸気蒸留法
最も一般的な方法。植物と水を一緒に加熱し、蒸気から香りを抽出します。

②圧搾法
柑橘類のように皮に強い香りがあるものは、皮を絞ってオイルを取り出します。
加熱しないぶん、フレッシュな香りを残せます。

③溶媒抽出法
花などは水や熱に弱いので、溶媒(ヘキサンやアルコール)に香り成分を溶かし込んでから分離させる方法を用います。

薬剤師としての知識と、試作・研究を重ねた経験を活かして、植物にとって最適な方法を選んで製造しています🌿

◆安心してアロマを楽しんでもらうために

薬剤師の知識が生きることがもう一つあります。

それは、アロマオイルの誤解を解いて安心して使っていただくことです。

たとえば、柑橘系の精油には「光毒性(肌につけた後、紫外線を受けると刺激になること)」を心配される方も多くいらっしゃいます。
けれど、精油に含まれる成分が「少しでも入っていたらダメ」というわけではありません。
濃度や使い方を正しく知れば、柑橘の香りも安心して楽しんでいただけます😊

また、溶媒抽出に使う有機溶媒についても
「ごく微量でも健康被害がある」というわけではなく、使う量と濃度によって安全に使えます🌿

アレルギーがあると分かっている人以外は、使い方に気をつければ問題無くアロマオイルを楽しめるのです。

このように薬剤師の知識を活かして皆さんの誤解を解き、安心して使ってもらいたいので、きちんとお伝えするようにしています。

アロマを手にした皆さんが、心置きなく奄美の香りに包まれて、笑顔になってほしいと願っています✨

◆これからの島のために

捨てられていたものに、新しい価値を

香彩(かあや)のアロマオイルの原料には、普段は捨てられてしまうようなものも使っています🍊

加工の際に捨てられる皮、規格外で市場に出せないフルーツ、一般家庭の庭で実っているけれど「美味しくないから」と食べられない果実たち。

いつか、そうしたものをすべて買い取り、アロマオイルとして生まれ変わらせたいと考えています😊

今あるものに新しい価値を見出すことで、島の人たちがもっと豊かになりますように。
そのお手伝いをしたいと思っています🙏

島で暮らす人々と一緒に未来をみたい

「仕事がないから、島には住めない」と感じている若者たちもいます。

私はアロマづくりの仕事を通して、島でも暮らし続けられること、自分の手で新しい仕事を生み出せる可能性があることを伝えていきたいと思っています😊

移住者の私をあたたかく迎えてくれた奄美の人たちへ、私の活動で少しでも恩返しできるように🙏

香彩(かあや)は収益の一部を、日本赤十字社への寄付や、奄美の高校への書籍寄贈に充てています。
小さな取り組みですが、島の未来につながる力になれるよう、これからも続けていきます。

香彩(かあや)のアロマが、島と人々をつなぐきっかけとなれますように。

これからも、心を込めてお届けします。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次