奄美の在来柑橘、島みかんとロクガツミカンを精油にしなかった理由
知人から、「あそこの家にクネブがあるよ」と教えてもらったことがあります。
紹介してもらったお宅へ行ってみると、そこにあったのはロクガツミカンでした。
島の人でも間違いやすい見た目なんです🍊
奄美には、島の外では名前を知られていない柑橘がいくつもあります。
島みかんとロクガツミカンも、その中の二つです🍊
でも香彩では、この二つを精油にしませんでした。
香りが良いのに、なぜ選ばなかったのか。
理由は、香りの良し悪しとは別のところにあります。

良い香りでも、すべては選べない
島みかんとロクガツミカンは、どちらも香りが良い柑橘です。
けれど、製品にするかどうかは、香りだけでは決められません。
実際に精油を作る側には、目の前の香りとは別の判断が必要になります。
島みかんとロクガツミカンを選ばなかった理由は、大きく二つあります。
どちらも、実際に精油を作る側として、判断に入れていることです。
だから今回は、島みかんとロクガツミカンの香りを比べる話ではないんです。
香りを確かめた、その先の判断について書いています。
収穫時期が重なると、すべては抽出しきれない
島みかんとロクガツミカンは、収穫時期がほかの柑橘と重なります。
同じ時期に複数の柑橘が収穫を迎えても、すべてを抽出しきれるわけではありません。
香りが良いという理由だけで、候補を増やし続けることはできないんです。
どの柑橘を精油にするのか。
製造する側は、収穫時期の重なりも見ながら選ぶ必要があります。
島みかんも、ロクガツミカンも、香りが良くなかったから外したのではありません。
同じ時期にある柑橘を並べたとき、すべては扱いきれない。
それが、選ばなかった一つ目の理由です。
果実の数が少ないものは、無理に集めない
もう一つ、わたしが見ているのは果実の数です。
精油を作るには、大量の果実が必要になります。
香りが良くても、果実の数が少ないものは選びません。
少ない果実を精油のために無理に集めれば、乱獲につながり、植物を無駄にしかねないからです。
香りを取り出せることと、取り出してよいことは同じではありません。
選ばない=価値が低いという意味ではありません。
見ているのは、製造の原料として選べるかどうかです。
香りは良い。
精油にするには、大量の果実がいる。
でも、その果実の数は少ない。
だからわたしは、無理に集めないと判断しました。
柑橘は実を採っても木が残ります。
けれど、木が残ることと、果実をいくら集めてもよいことは同じではありません。
環境への配慮も、製造者として意識すべきことです🌿
選んだ側にも、選んだ理由がある
香彩が精油の原料に選んでいる柑橘の一つが、たんかんです。
たんかんは、収穫量が安定しています。
香りだけを比べて、島みかんとロクガツミカンではなく、たんかんを選んだわけではありません。
製造の原料として見ると、同じ柑橘でも条件が違うということです。
たんかんを選べた理由の一つは、収穫量が安定していること。
製造を考えるとき、必要な果実を確保できることは、香りと切り離せない条件になります。
香りの向こうにある条件まで見た結果が、いまの選択です。
だから、製品に並んでいる名前だけでは、選んだ理由の全部は見えません。
その後ろには、精油にしなかった柑橘と、選ばなかった理由もあります。
何を選ばないかも、製造者の仕事
製品になった香りは、瓶に入って目に見えます。
一方で、選ばなかったものは残りにくいものです。
島みかんとロクガツミカンは、香りが良い。
それでも、収穫時期が重なり、すべては抽出しきれません。
そして、果実の数が少ないものを、精油のために無理に集めることもしない。
わたしがしているのは、目の前の果実を原料として選ぶときの判断です。
何を選ぶかと同じくらい、何を選ばないかも製造者の仕事。
島みかんとロクガツミカンは、その判断を記録しておきたい二つの柑橘です。
製品に並ぶ名前の手前には、選ばなかった香りもあります。
そのことまで知ってもらえたらと思います🍊
<香彩代表・カモガワ>
薬剤師として奄美大島に暮らしながら、島の植物の香りを“えがおのくすり”として届けています。
青い海と風の中で出会った植物たちの香りを通して、奄美の優しさと彩りを全国へ。





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