大きなアダンの木の下で

奄美の海辺を歩くと、必ずと言っていいほど目に入る木があります。
アダンです。

アダン
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パイナップルみたいで、パイナップルじゃない

オレンジ色の大きな実をつけます。
はじめて見た人はたいてい「パイナップルが生ってる」と驚くのですが、よく見ると木に生っている。

パイナップルは地面から生える草の仲間なので、じつはまったくの別もの。
似ているのに、似て非なるもの。
そういうところが、なんだか面白い植物です🌿

その実は、見た目のわりにそのままでは食べられません。
繊維が多くて、人の口にはなかなか合わない。

でも、木の下をのぞくと、ちゃんと食べに来る生き物がいます。
ヤドカリや、ヤシガニ。アダンの根元は、島の小さな生き物たちのすみかになっているんです🦀

人の役には立たなくても、ちゃんと誰かの暮らしを支えている。
島を歩いていると、そういう光景によく出会います😊

島を守る木、と言われているけれど

アダンは「防風林」としても知られています。

塩に強くて、深く根を張る。
鋭いトゲのある硬い葉が、密に茂る。

だから昔から、海沿いの集落を潮風や飛砂から守ってきた木だと言われています。
コンクリートの護岸よりも、自然の力で海岸を守ってくれる——そんなふうに語られることもあります。

でも、私はそれだけではないと思っています。

勢力の強い台風が過ぎたあと、海辺のアダンが折れて、倒れているのを見たことがあります。
あんなに強そうに見えた木が、根こそぎ横たわっている。
しなやかなはずの枝が、ぽっきりと。

そのとき感じたのは、自然の頼もしさではなくて、むしろ脆さでした。

私たちを守ってくれるはずの自然そのものが、こんなにも簡単に傷ついてしまう。

守られているつもりでいたけれど、ほんとうはとても危ういところで成り立っているのかもしれない。
少し、こわくなりました。

それでもアダンは、また芽を出します。
倒れた場所から、新しい葉を伸ばして、いつのまにかまた海辺に立っている。
島の時間は、そうやってゆっくり巡っているのだと思います。

役に立つとか、立たないとか。
強いとか、弱いとか。

人はつい、そういう物差しで植物を見てしまいます。
でも島の木は、そのどれにも当てはまらない顔を持っている。

私が島の植物に惹かれるのは、たぶんそこなんだと思います。
簡単には割り切れない、その奥行きに。

大きなアダンの木の下に立つと、いつもそんなことを考えます。


<香彩代表・カモガワ>

薬剤師として奄美大島に暮らしながら、島の植物の香りを”えがおのくすり”として届けています。
青い海と風の中で出会った植物たちの香りを通して、奄美の優しさと彩りを全国へ。

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