「美味しくないから」と言われる果実が、香りになるまで

奄美を歩いていると、ときどき足が止まります。
クネブという在来の柑橘が、枝に鈴なりのまま、誰にも採られずにいるのに出会うからです。
「これ、すっぱいだけだからねえ」
そう言って、島の人は笑います😊
確かに、食べるには難しいのかもしれません。
でも私はそのクネブから、いつもいい香りを感じていました🌿
食べて美味しいことと、香りがいいことは、別の物差し
香彩の原料には、普通なら見過ごされてしまうものがよくあります。
加工のときに出る皮。形が悪くて市場に出せない果実。
「美味しくないから」と、枝に実ったまま残されていくもの。
でも、香りの世界では物差しが違います。
酸っぱくても、小さくても。
その果実が持っている香りは、ちゃんとそこにあるのです。
クネブも、その一つです🍊
地元では「すっぱくて食べられない」と言われ、活用されないまま残っていることもあります。
でも、その香りを嗅いでみると驚きます😳
あの上品なベルガモットに、とてもよく似た香りがするのです。
食べる果物としては選ばれなくても、香りでなら、こんなにも豊かな個性を持っている。
スーパーに並ぶ基準だけを見ていたら、きっと見逃してしまう香りです。
見過ごされていたクネブが、こんな香りを持っていた
果実を分けてもらったら、一つひとつ丁寧に向き合います。
その植物に一番合った方法で、香りを取り出していく。
クネブは、酸味が立ちすぎないように、溶媒にそっと溶かして香りを抽出します。
薬剤師として、植物に合わせて抽出の仕方を変えています。
水蒸気で蒸す。皮を搾る。溶媒に溶かす。
その果実が一番気持ちよく香りをひらく方法を、いつも探しています。
初めて狙った香りが取れた日のことは、今でも忘れません。
「見過ごされていたものが、こんなにいい香りを持っていたんだ」と、
胸の奥が震えるような気持ちになりました😊✨
香りになって、また島へ返っていく
果実を分けてくれるのは、島の農家さんや、ご近所の方たちです。
「うちの庭にあるよ」
「これ、よかったら使って」
そんなふうに手渡されたものが、香りになって、また島の価値として返っていく。
そのことが、私はとても嬉しいのです😊
いつか、見過ごされてしまう島の果実を、全部引き受けられるようになりたい。
今あるものに新しい価値を見つけることで、島の人たちの暮らしが少しでも豊かになるように。
香りをつくることは、私にとって、島とつながり続ける方法でもあります🌺
香りは、土地の記憶
香りは、その果実が生きてきた土地の記憶だと思っています。
奄美の風や、雨や、湿った土。そして、育ててきた人の手。
見過ごされるはずだったものに、もう一度、光を当てたい。
それが、香彩のものづくりです🌿
<香彩代表・カモガワ>
薬剤師として奄美大島に暮らしながら、島の植物の香りを”えがおのくすり”として届けています。
青い海と風の中で出会った植物たちの香りを通して、奄美の優しさと彩りを全国へ🌺



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